監修:大阪大学大学院医学系研究科
医学科教育センター 教授 和佐勝史先生
短腸症候群(Short Bowel Syndrome:SBS)とは
短腸症候群(Short Bowel Syndrome:SBS)は、腸管の大量切除により、著明な消化吸収障害に陥る病態である。
腸管大量切除直後は、栄養状態を保つために中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)を必要とするが、TPNからいかに離脱するかが栄養管理上のポイントとなる。
診療報酬上の小腸大量切除の定義
・小児:残存小腸が75cm以下
・成人:残存小腸150cm以下または3分の1以下の場合
日本静脈経腸栄養学会編:静脈経腸栄養ガイドライン第3版. 2013,P299
SBSの原因
SBSは腸管切除後に現れる状態を示し、腸管切除に至った原因もさまざまである。主な原疾患は、成人と小児では異なる(表1)。
表1 主なSBSの原疾患
成人 | 小児 |
---|---|
クローン病 | 小腸閉鎖症 |
上腸間膜動脈塞栓症 | 中腸軸捻転 |
絞扼性イレウス | ヒルシュスプルング病 |
外傷 | 腹壁破裂 |
放射線腸炎 | 壊死性腸炎 |
腹部腫瘍 | 腹部腫瘍 |
外傷 |
Buchman AL:Gastroenterol. 2006: 130: S-1-S15より改変